

軽い重量で筋トレをしても筋肉は大きくならないのかな??
今回は軽い重量(低強度)で筋トレを行った場合、筋肥大に効果はあるのか?
と言うことについて書いていきたいと思います。
結論から言うと、自重トレーニングのような軽い重量(低強度)でトレーニングを行っても、総負荷量(トレーニングボリューム)を稼ぐ事ができれば筋肥大はします。
ですが、中〜高重量のトレーニングと比べると効率は悪いです。
低強度でトレーニングをしても筋肥大は本当にするのか?
低強度でトレーニングをする事のメリット・デメリット
筋肥大を効率良くさせるための最低限の強度はどのくらいなのか?
と言うことについて書いていきたいと思います。
軽い重量でも筋肥大はする事を証明したメタ分析
まずは、低強度(軽い使用重量)でトレーニングを行った場合でも筋肥大には効果がある事を証明したメタ分析(様々な研究の統計)を見ていきましょう。
参考文献&引用元URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28834797/
<研究内容>
グループ①は1RM60%以上の中・高強度でトレーニング
グループ②は1RM60%以下の低強度でトレーニング
*1RM60%とは、ベンチプレスのマックス(一回反復させるのが限界=1RM)が100kgの場合、60kgとなります。
どちらのグループもレップ数は限界回数までトレーニングしています。
期間は6週間
ちなみに、1RM60%はどのくらいの強度かと言うと、
ベンチプレスのマックス(1RM100%)が100Kgの人なら、60Kgとなります。
1RM60%だと、だいたい20回反復できます。
なので、1RM60%以下の強度だと、少なくとも20回以上は反復できる重量と言うことになります。
基本的な筋トレの強度はだいたい6〜12回反復が限界となる強度の1RM85%〜1RM70%なので、1RM60%以下はトレーニングの強度としては低い(低強度)と言えますね。
それではメタ分析の結果を見ていきましょう。
<結果>
筋出力(1RMの増加最大挙上重量)
グループ①、②共に増加したが、中・高強度のグループ①が大きく増加した。
筋肥大の測定値の変化
グループ①、②共にほぼ同等に筋肥大した
等尺性の強度(アイソメトリック)
グループ①、②共にほぼ同等に成長した。
結果を見ると、筋出力に関しては1RM60%の高強度グループの方が大きく成長しましたが、筋肥大に関しては強度に関係なく同じくらい成長しています。
結果の考察としては、高強度・低強度どちらのグループも限界回数までトレーニングをしています。この事から、”どちらのグループも、筋肥大に十分な総負荷量(トレーニングボリューム)を稼ぐ事ができた為、筋肥大が等しく起こった”と予測する事ができます。
ジムでマシンやフリーウエイトを使用したトレーニングでなくても、家で出来る強度の低い自重トレーニングでも限界近くまで追い込む事ができれば筋肥大は十分可能と言えますね。
筋肥大が目的で低強度でトレーニングするデメリット
低強度でトレーニングを行っても、筋肥大はすると言う事がわかりました。
ですが、低強度のトレーニングは筋肥大に関してデメリットとなる部分もいくつかあります。
筋力(筋出力)のアップには低強度は向いていない。成長スピードが遅くなるかも
筋力(筋出力)は神経系の発達を促す”重い重量(高強度)”でトレーニングを行った方が向上します。
先ほどのメタ分析でもあるように、1RM60%以下でトレーニングした低強度グループよりも、1RM60%以上でトレーニングをしていた高強度グループの方が筋力は向上しています。
筋力が向上していけば、それに合わせて徐々に使用する重量も重くする事ができます。
長期間トレーニングを続けるなら、中・高強度のトレーニングを行った方が、低強度のトレーニングより筋肉の成長スピード早いと思われます。
低強度はトレーニング時間が長くなり、疲れる
低強度のトレーニングはレップ数が多くなります。
レップ数が多くなる事で、1セットにかかる時間も長くなり、トータルのトレーニング時間も長くなります。
また、低強度トレーニングは筋肉のバーン(筋肉が厚く焼けるような痛み)を感じやすく、心肺の負担も大きいので、精神・肉体的に疲労を感じやすいと思われます。
腕立て100回と、ベンチプレス10回の筋肥大に対する効果が同じなら、ベンチプレス10回を選んだ方が、トレーニング時間や精神的な負担も少なく効率的にトレーニングを行えると思います。
筋肥大が目的で低強度でトレーニングするメリット
デメリットばかりを見ると、筋肥大が目的の場合、低強度トレーニングはしなくてもいいんじゃないか?と思うかもしれません。
ですが、低強度でトレーニングを行うメリットもあります。
低強度は関節や腱の負担が少ないので怪我をしにくい
高強度トレーニングは関節や腱の負担が大きく、怪我をしやすいと言うリスクがあります。
「ベンチプレスで肩を痛めた」「デットリフトで腰を痛めた」などの話はよくある事です。
怪我をしてしまうと、長期間トレーニングを休まなければならなくなったり、一度怪我をしたしまった部位は再び怪我をしやすくなったりといいことはありません。
低強度の場合は、関節や腱の負担も少ないので、怪我のリスクを回避する事ができます。
効率的に筋肥大をさせる為に必要な軽い重量の最低ライン。1RM60%以上が筋肥大には効果的
最後に「効率的に筋肥大をさせる為に必要な軽い重量の最低ライン」についてです。
参考にした研究では、トレーニングで使用する重量によって、筋タンパク質の合成はどう変化するのか?と言うのを調べています。
結果は以下の表にある通り、1RM15〜45%の強度では筋タンパク質の合成の割合はかなり低く、1RM60%の強度から筋タンパク質合成の割合が高まっています。(1RM75%がピーク)
画像引用:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2670034/
FSR=筋タンパク質合成率
Exercise intensity(%1RM)=強度、1RM(マックス)の何%の重量でトレーニングをしたか
Yong=若者
Older=高齢者
筋たんぱく質合成率が低いという事は、体が筋肉を作ろうとしていないので、筋肥大が目的の場合、合成の割合が高まる1RM60%が筋肥大を効率的にさせる重量を最低ラインと考えた方がいいかもしれませんね。